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  さる8月7日、本山東本願寺にて、当山若院兄弟が揃って得度を受式し、真宗大谷派の僧侶として歩みを始めることになりました。今回、特別に紙面を借りて、得度に帯同した、住職によって得度の実際をレポートさせていただきます。
   
 
現住職が得度して以来三十年ぶり
■得度の実際
 浄衣を着る若院兄弟
(左、長男良慈、右次男光慈、中央、長女佳帆子
  =本山、大寝殿にて)
 得度とは、僧侶になるための儀式。武士の世界の元服に似た儀式というと、ピンとくるかもしれない。遠く八百年以上前、親鸞聖人は、九歳にて家を離れ出家得度し、比叡山に登られた。かつて、得度は、旧来の仏教の教えを受け継ぐ身となることの表明であり、その身分を国によって保証された。
 今の時代の得度と言えば、寺の子弟が僧侶になる(法衣を着る)ための資格を取ることを差す場合が多い。医者や弁護士が職を嗣ぐために、国家資格をとらなければならないことを思うと、得度をすることは、試験もお経を確実に読誦すること、僧侶になるための心得を受けることなどで、本人の技量があまり高くなくとも、うけることは可能である。
 しかし、インドから命がけで伝えられた仏教の教えの意義、寺が存続されてきた意義を感じると、実は、得度という事実は、実に重いことがらである。
■東本願寺での受式
 度牒を参務から受け取る若院兄弟
                 (参拝接待所ホールにて)
 8月の京都は熱い。じりじり照りつける熱線が、盆地の中をうずまき、綿菓子のようにまととわりつく。気温35度と言っても、ゆであがる前のカエルがそうであるように、徐々に慣れてしまう体には我ながら驚くばかりであるが、さすがに、京都の夏は格別。
 得度の前日の8月6日、東本願寺の宗務所地下で、男性はカミソリにて頭を丸める。照りつける太陽は、青く鈍くひかるテカテカ頭に、少々酷な感じだ。
 8月7日(火)、朝8時20分までに、東本願寺の中にある、大寝殿に集合。ときに、親鸞聖人が得度されたときにならって、浄じょう衣え(貴族の着る水すい干かんに似ている)という衣装をまとう。この姿で、阿弥陀堂に入り、唐戸の完全に閉められた、暗い外陣に着座すると、燭によって導かれた御門主が入堂され、それぞれに三度剃刀をあてられる。これは、名聞(自分の名を上げること)、利養(自身の利益になること)、勝他(他に競り勝つこと)から離れることを意味すると言われている。そして、「願従今尽未来際、帰依仏、帰依法、帰依僧」(右頁参照)というこの場でしか唱えることのない三帰依を暗唱して、得度が完了。僧侶の仲間入りが許される。
 午前9時半、阿弥陀堂前で控えていた付き添いによって、法衣の着衣を許された受式者に、黒衣、墨袈裟(本山より下附)を渡され、いよいよ、浄衣から法衣をまとった僧侶として、はじめての儀式に参加。このとき、阿弥陀堂の唐戸はすべてあけられ、一般の参詣の方と一緒にお参りすることになる。次第は、正信偈草四句目下、念仏和讃。
■祖廟(そびょう)参拝、度牒(どちょう)拝受
 僧侶となって、黒衣・墨袈裟を着た若院兄弟
                         (大寝殿にて)
 その後、阿弥陀堂前にて、記念撮影をして、大谷祖廟に参拝。大谷祖廟とは、知恩院近くにある、親鸞聖人のもともとの墓地。つまり、本願寺発祥の地である。遠く鎌倉時代、多くの親鸞聖人のお弟子たちは、はるばる関東から、この祖廟に参詣をし、祖廟に敬われた御真影を拝して、思いを新たにさせた。得度して僧侶になったものにとって、まず参詣をしなくてはならない、神聖な地である。
 こうして祖廟参詣を済ませると、いよいよ法名が伝達される。因みに、我が愚息の法名は、長男=釈良慈、次男=釈光慈。本山の参務より、法名が記せられた、度牒が手渡されると、初めて、法名を頂いた、真宗大谷派僧侶となり、順慶寺衆徒に加えられた。
■僧侶としての勤め
 初めての簡衣・輪袈裟(市場下地蔵盆にて)
 本山参務より、「毎朝お勤めをするように」と教えられ、夏休みの間、法衣を着て、お朝事に参詣するようになった、二人の順慶寺衆徒。
 紆余曲折するだろうが、皆様のお育てをいただき、何とか順慶寺をもり立てていって欲しいと願わずにおられないのが本音。
 まず、お役として、夏の地蔵盆へ老院に従って参詣。僧侶としての第一歩目を踏み出した。
■誓約(得度受式者)
一、仏祖(ぶっそ)を崇敬(そうきょう)し、教法(きょうぼう)を研修聞思(けんしゅうもんし) すること。
二、真宗本廟(ほんびょう)を崇敬し、本廟奉仕に努めること。
三、宗規(しゅうき)を遵守(じゅんしゅ)し、宗門並びに寺院、教会の興隆に努めること。
 (真宗大谷派宗務所)
■得度について
 得度式は、真宗大谷派の僧侶となる重大な意義ある儀式であって、真宗本廟の御影堂(ごえいどう)において、門首がこれを行われるのであります。
 得度式では「願従今身盡未来際(がんじゅうこんじんじんみらいさい)帰依佛(きえぶつ) 帰依法(きえほう)帰依僧(きえそう)」の三帰依文(さんきえもん)を、一同唱和します。
 これは、「願わくは、今のこの身より、未来のはてを盡(つく)して、仏に帰依し、法に帰依し、僧に帰依します。」という、三宝に帰依する大切な御文であります。真宗の僧侶として、宗祖親鸞聖人が明らかにしてくださった阿弥陀仏の本願を信じ、念仏を申し、御同朋御同行と共に生きる僧伽(さんが)の一人となることを誓いとすることが、得度の大事な意義といわねばなりません。
 また、得度のために剃髪(ていはつ)をすることは、『口伝紗(くでんしょう)』に述べられているように、勝他(しょうた)・利養(りよう)・名聞(みょうもん)という、「みつのもとどり」を切って求道者として新しく人生の第一歩を踏み出すことを意味し、同時に「鬢髪(びんぱつ)を剃除(ていじょ)したまいき」と『御伝鈔(ごでんしょう)』に記されているように、宗祖聖人の往時の御得度の姿にならうことであり、聖人の教えを奉ずる真宗大谷派の僧侶となる自覚をもつことであります。
 (真宗大谷派宗務所)
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