夕方5時。ガヤ空港から、バスに乗り、ホテルに立ち寄ってから、いよいよ釈尊成道の地・
ブダガヤ。
広大な大地に夕焼けがことのほか美しい。ほの暗い中に、赤く染まる太陽の斜光線に映し出
される成道の象徴・大塔は、見る者の気持ちを高鳴らせる。はやる気持ちを抑えて、バスから
降りる。少し歩くと、如何にも貧相な子供が寄ってきて、マネー、マネー。また少し歩くと、
今度は、物売りの人の、千円、千円。これがまた、払っても払ってもよってくるハエのように
しつこい。仕舞には、土産物屋とおぼしき個人ガイドが寄ってきて、参拝の間じゅう付きまと
う。女性は、あたりの暗さも手伝って、怖かった人も多かった。今のインドの実状だ。
およそ2500年前の、11月の暮れ。ブダガヤに流れる、ナイランジャー河は乾期で、川
幅もなく、穏やかに流れていた。プリンス・シッタールダは、ブダガヤ近くのウルビラの森で
35歳までの六年間苦行を続けた。やせ細って骨皮の状態になったが真理を求め続けることを
やめなかった。
しかし、ある日、ことともあろうか、川のほとりにいた、村の長老の娘・スジャータの乳がゆ
の供養を受けた。これは、苦行の終わりを意味する。苦行を共にした、五人の仲間は、シッタ
ールダの元を離れた。覚悟の行動。12月8日、シッタールダは、菩提樹下で穏やかに座禅を
組み、すべてのものは、ただそれだけで存在することはできないと悟る。